私たち芸工生は、各々デザインを学んでいます。

しかし、

 

「今のデザインの学習は将来どのように生かされるのだろうか。」

 

ということがイメージできず、疑問に感じました。そこで、その疑問を解決すべく九州大学芸術工学部のOBでありデザイン事務所”GA-TAP”で活躍する嶋田さんにお話しを伺いに行きました!

 

 

嶋田 研人(Kento Shimada)
福岡県出身、2011年に九州大学芸術工学部工業設計学科を卒業し、同大学院デザインストラテジー専攻卒業。
大学院卒業後、GA-TAPに入社。社内では、主にプランナー・コピーライターの職務を担当している。

 

 

株式会社ジーエータップ
福岡に本拠を置くデザイン事務所。グラフィックデザインから、空間、建築のデザインなど広い領域でデザインを行う。フィロソフィは「Think And Produce=かんがえる、むすぶ、うみだす」これは、社名の由来にもなっている。

 

GA-TAP 公式サイト

 

 

 

 

お客様とともに考えデザインを生み出す


GA-TAPさんだけが持つ デザインへの考え方、プロセスはなんですか?

 

クラアントの目的に合わせ、何を作るかをまず考えることが特徴です。

 

例えば、お店の内装デザインの依頼を受けたとき、その要望だけにとらわれず、パンフレットやキャッチコピー、あるいはブランドそのものの考え方など別の提案をすることもあります。表面的なデザインではなく、クライアントが本当に達成するべきことを見極め、より大きなプラスを生むためにはどうするればいいかを一緒に考えて、デザインを通した目的の達成を図ります。

 

様々なデザイン領域に精通しているからこそ、さらなる課題解決につながる提案をし、それをすべて引き受けることができる。それが会社の特徴です。

 

 

「頭でっかちでもいい」 考えることがデザインを洗練する


デザインおける芸工生の強みとはなんですか?

 

これは、理系と文系の両方の考え方を持っていることだと思います。特に理系的な、ロジカルに考えを組み立てる力がポイントではないでしょうか。

 

僕が学生の頃、「芸工大の学生は頭でっかちな人が多い」と言われることがありました。
つまり、他の芸大生に比べ、コンセプトを考えることは得意だが、それをアウトプットする力がないということです。かくいう僕もそのタイプで、どちらかというとアウトプットのほうが苦手でした。
学生は課題などで、コンセプトからアウトプットまで全て自分で作ることが多いと思います。そのため考えることは好きだけど、デザインには自信のない芸工生もいるでしょう。

 

しかし社会に出てからは、基本的にチームでデザインをします。
僕のような、コンセプトを考えるプランナーもいれば、実際に出力するデザイナー、一連を取りまとめるアートディレクターなど、各々が強みを生かせるように役割を分担します。
そのなかで、みんなが責務を全うしつつ、アイディアを出し合うことで、1人では成しえない洗練したデザインが出来上がります。そのため、たとえアウトプットが苦手な人も、自分の得意領域を伸ばすことで最終的なデザインのレベルを高めることに貢献できます。

 

いわゆる「頭でっかち」なタイプの人でも、逆に他の人より考えることに長けていると捉えれば、それは大きな武器になります。ですから、芸工生には、考える力を伸ばすことのような、自分の得意分野を育てることが、デザインのレベルアップに向けた一つの手段であることを、知ってもらいたいです。

 

 

 

クライアントとターゲットをどう結ぶか? コンセプト決定の本質


では考える力を伸ばすために必要なことを教えてください!

 

デザインは、目的を持つクライアントと、アプローチする社会や人を結ぶ役割があります。
コンセプト設計では、その二つをどう結ぶのか、論理的に考えなければいけません。
だから、その両者の状況をしっかり把握することが大事です。そのため、お客さんの話をしっかり聞くこと、届く先の社会についてよく知っておくことが大事だと思います。
また、それらの情報を並べて整理することも重要です。

 

 

 

一緒に働きたいと思う人の特徴を教えてください!

 

これは3つあります。

 

一つは、考えてデザインができること。これは、先ほどの話に共通します。世の中には、深く考えず感覚で作られたデザインがたくさんあります。しかし、それは作った人の自己満足の「アート」であって、世の中の人に役立つ「デザイン」ではないと思います。
デザインの前に考えることをしっかりできることで、人のためのデザインを共に作り出せると考えます。

 

二つ目は、得意なものがあることです。これは、建築やグラフィックのデザインスキルもそうですし、イラストが描ける、どんな人とでも話せる等でもいいです。
会社では多様なジャンルのスペシャリストが集まり、それぞれの得意な領域でプロジェクトを進めていくので、学生のうちから自分の得意領域を持っていてもらいたいと思っています。

 

三つ目は、一つのことに固執しないということです。二つ目と矛盾するかもしれませんが、プロジェクトは、自分が得意なことだけやっていればいいわけではないです。
常に新しいことが降りかかります。そこに、しっかり向き合いチャレンジできる姿勢を持っていることが大事だと思っています。

 

 

 

 

最後に、大芸工展に向けメッセージをお願いします。

 

大学にいた頃から、「芸術工学」というものを学ぶ大学が他にもいくつかあることは知っていましたが、一緒に何かをやろうとしたことはありませんでした。距離を超えて「やってみよう」と思った後輩たちの行動力に感服しています。これを機に各大学の交流や、このようなイベントが盛んに行われるようになることを期待しています。などと偉そうに言いましたが、僕もまだまだなので、後輩たちに負けずにがんばります。

 


 

 

現役のデザイン事務所の方から貴重なお話を伺うことができました。私も、コンセプトを練るのは好きですが、アウトプットに苦手意識があります。それに悲観して、デザインから離れるのではなく、自分がデザインの中でどのように貢献できるかを考えてみたいと思います。またデザインスキルに自信があり、バリバリと製作をこなしている方も、一度自分のデザインの中の「考える」というプロセスを見直してみてはいかがでしょうか。

 

(執筆者:足立昂貴)