東京に本拠を置き、数々のデザインやプロジェクトを手掛けるDE-SIGN。

九州芸術工科大学のOBであり、そんなDE-SIGNの役員を務める今村剛さんにお話を伺いました。

 

今村 剛 (Imamura Go)
1995年九州芸術工科大学(現九州大学 芸術工学部)卒業後、ゼネコンの設計部に就職。退職後にイギリスのロンドン芸術大学に留学、2002年に卒業し帰国。いくつかの設計事務所を経て、株式会社ディー・サインに入社。現在、取締役を務めている。

 

株式会社ディー・サイン

東京に本拠地を置くプロジェクトマネジメント&デザイン事務所。多種多様な経験とスキル、個性を持ったメンバーが集まり、ワークプレイス領域に留まらず、ワークスタイル、プロダクト、グラフィック、建築、街づくりなど様々な分野から、既存の枠にとらわれない “場”づくりに挑戦し続けている。

 

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ユーザーがカスタマイズできる余白を作る


 

「貴社だけが持つデザインのプロセスを教えてください。」

 

僕らが特化しているのがインテリアのデザインになります。これは、あるプロジェクトが終わってクライアントに完成した空間を引き渡した時点で終わりっていう感覚だと思うんですけど、今のワークプレイスで言うとそこがスタートって感じなんですよね。

 

完成した場所にユーザーが入って月日がたつことで、出てくる課題もあったりするから、その中でユーザーが自分たちでカスタマイズしていける余白を作ることが重要だと思います。

 

 

 

貴重な財産となる横とのつながり


 

「学生時代にするべきことを教えてください。」

 

まず、僕自身九州芸術工科大学出身でほかの芸工と呼ばれる大学とは違うかもしれないですけど当時は、比較的人数が少ない4学科しかなく、その横のつながりをすごく感じていました。ようは小学校のように4クラスしかなくて、学年みんなのことを知ってるようなイメージ。ほかの学科と横串で、勉強についていろんなことを聞けたり、協力して作業ができたことが結構大きいかなって思います。

 

ただ単に建築をやりたい、建築馬鹿になって、そこにイノシシみたいに邁進するのもありかもしれない。ただ、一筋縄ではいかないことが世の中にはたくさんある。その中で、学生時代の横のつながりで得た知見や、友人が今の自分の財産になっている気がします。なので、貪欲に自分の選考学科以外に首突っ込んで行くことが大事かな。またそういう感覚で、学外の広がりも広げてほしい

 

また九州大学で言えば、僕らのころと違い今は農学部、文学部などほかの学部の授業を受けることができる。芸工だけにとどまらずにいろんな学部といろんなプロジェクトを、例えば文学部だからできることが多分あるだろうし、違う学部の特徴を生かしながら横につなぐイベントができたら楽しいんじゃないかと思う。

 

 

あとは、いろんな学生の子たちとか東京で見て言えるのは、やっぱり真面目。もっと馬鹿になっていいんじゃないかと思います。別に、学生のときだから許されるバカっていうのはあるじゃないですか、で大人になりそれをできなくなっていくことも、多少あるんですよね。

 

「そうですね。僕は今までほとんど学内で勉強してきました。だから大芸工展として学外で活動して初めて学んだことが多くあります。」

 

大学行って授業出ることだけが勉強みたいな風潮あるじゃん。小中高も一緒。学生は決まった場所でずっと勉強して育ってるけど、それ以外のことのほうが重要な気がする。結局学校の中で考えて、こりこり勉強してもしょうがない。外に出て、いろんなものを実際に見たり、体験をしたり、おもしろい人に出会ったり…そこら辺が自然とこううまくできていくのがいいんじゃないかなとおもう。学内でも遊びがあれば、課外活動でも遊びがあって、いろんなおもしろい人たちとの出会いによって、どんどん楽しみが加速していくっていう生活がいいんじゃないかな。

 

 

クリエイティブのつながりを、全国へと広げる


 

「大芸工展への期待を教えてください。」

 

芸術工学がキーワードになって4つ集まったのがスタートとになると思うけど、それからもっと派生してほしい。さっきも言った自分の学科の勉強とか活動以外の領域にも広げたほうがいい。今は芸術工学がキーになっているけど、そこからそれぞれの地域のほかの芸術系とかクリエイティブ系だったり、そういうところとのコミュニケーションの中で、活動が広がっていってほしい。

 

今デザインって言葉自体単なる表層にしつらえの話だけではなくなってきて、世の中にどんどん必要とされて行くべきだとおもうので、そういった人たちのネットワークを学生のうちにつくり全国に広げる、そしてアジアないしは世界にまで、そこまでの期待を持っています。

「美大芸大に対して芸工って世間に普及していないのがもどかしいです。」

 

なんかこう、器として芸工、美大、芸大があるけど中身って実際どうなんかな。

例えば芸工は基礎造形とか授業であるじゃない。授業で、石膏でもの作ったり。美大でもでも学科によってはそういうことしないことってあるじゃん。だからこっちのほうが芸大っぽいことやってるよね。看板自体は各々名乗ってるけど結局中身ってどうなんかな。芸工と呼ばれるところの中でも各々違うと思うし、それこそ美大芸大の中身と比べてみる、そこでお互いに中身の交換みたいなこともやれると面白い気がする。

 

一つの看板背負ったイベント、特にデザインのイベントとか、ちょっと僕は否定的な印象がある。東京でよくあるデザイナーの集まりより、もう少し広げて密集上の中でつながりを生むイベントのほうがおもしろいと思う。異業種的なイベントもそう。一つのものを一つの会社や、一つの個人がやる時代っていうのはもう遅いんじゃないかな。

 

 

「最後に大芸工展へのメッセージをお願いします。」

 

普段はそれぞれの学校のカリキュラムでデザインを学ぶ。それを自分たちのアイデンティティとして作品を出し合う。さっき言ったようにそれぞれの学校でおんなじ芸工でも違いがあると思うので、それをお互いに感じあって、それぞれが持ち帰り、「芸術工学」というもののブラッシュアップにつなげてほしいと思います。


今までになかった視点からの話に驚きました。芸術工学は美大、芸大とは違うといっても表面的にしか考えたことはなく、実際に中身を比べてみる、そして交換してみるという発想がなかったです。来年以降の大芸工展でそれが実現できればいいなと思います。貴重なお話本当にありがとうございました。

 

 

(インタビュアー:中島生幸 執筆者:足立昂貴)